忠誠心か道徳か
内部告発者のジレンマ:集団への忠誠心を保つことと、他の道徳的関心事のために立ち上がることとの間の葛藤
5歳児を対象にした研究によると、(軽度の違反では同じ程度だが)重度の違反では、内集団について告発する確率は外集団について告発する確率よりも有意に低かった
近年では匿名での内部告発専用窓口が公的機関などに設置されることが増えました。
しかし、匿名であるはずの内部告発者が明らかになってしまった時には、風当たりは大変なものがあります。
私たちが不正を目の当たりにしても集団に屈して告発をやめてしまうのはどんな時なのでしょうか?
内部告発者のジレンマとは集団への忠誠心を保つことと、他の道徳的関心事のために立ち上がることとの間の葛藤のことです。
内部告発者のジレンマに関連する研究を見てみましょう。
この5歳児を対象にした研究によると、(軽度の違反では同じ程度だが)重度の違反では、内集団について告発する確率は外集団について告発する確率よりも有意に低かったようです。
自分が所属する集団を裏切るというのは汚れた大人だけでなく、純粋無垢な5歳児にとっても難しいということを明らかにした研究です。
参考文献:
Misch, A., Over, H., & Carpenter, M. (2018). The whistleblower's dilemma in young children: When loyalty trumps other moral concerns. Frontiers in psychology, 9, 250.