迷路課題と空間記憶能力
先住民族はIQテストの成績が良くない
先住民族の空間記憶能力は高い
テレビを見ているたまにIQがとても高い人が登場します。
しかし、中にはIQは高いけれども頭はあまりよくないというような人も出てくるので、IQテストって一体何を計測しているんだろうと疑問を持つことはないでしょうか?
実は、オーストラリアに住む先住民族のアボリジニに迷路課題を解いてもらい、知能指数を調べると、一般的な数値よりかなり低くなることがわかっています。
もし、IQテストでわかる知能指数を"頭の良さ"だとするのなら、なんとなく納得の結果ではないでしょうか?
多くの人は先住民族より現代人のほうが知能が高いと思うでしょう。
しかし、ここで注意が必要なのは、IQテストは西洋社会向けに作られているということです。
どういうことかというと、積み木を覚えて再構築するという課題をやってもらうと、アボリジニの子どもはオーストラリア人の子どもよりはるかに高い成績になります。
これは、アボリジニの生活圏では空間記憶能力が必要とされるのが原因だと考えられています。
こういった結果を知ってしまうと、知能とは何か、IQテストは何を計測しているのか、というような疑問は簡単には解消されなくなってしまうのかもしれません。
参考文献:
Kearins, J. M. (1981). Visual spatial memory in Australian Aboriginal children of desert regions. Cognitive Psychology, 13(3), 434–460. https://doi.org/10.1016/0010-0285(81)90017-7
Kearins, J. (1986), Visual spatial memory in aboriginal and white Australian children. Australian Journal of Psychology, 38: 203-214. doi:10.1080/00049538608259009
Porteus, S. D. (1966). Porteus Maze Tests: Fifty years application. Palo Alto: Pacific.
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