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妄想を持つ人は非合理的なのか?

妄想とデータ収集バイアス


ビーズ課題:黒白のビーズが85:15、15:85の比率で入った2つの瓶があり、いくつかのビーズを取り出した時、どちらの瓶から来たものかを判断する
妄想を持つ人はより少ないビーズに基づいて判断するが、他の参加者と同じ量のビーズを見た場合は、成績に差は見られなかった

ここ数年、新型コロナウイルスのおかげで世界中の人々が様々なデマに触れることになりました。


ネット上でも、陰謀論(と呼ばれるもの)が盛んとなり、陰謀論を信奉している人々は奇怪な目にさらされ、そうでない人々は“目覚めていない人たち”と揶揄されるようになりました。


例えば、“妄想”について考えてみましょう。


妄想を持つ人々は“愚か”で“頭が悪い”かつ“非合理的”な人々なのでしょうか?


古典的な研究によると、妄想を経験した人は対照群と比べて、意思決定の前に要求する情報量が少ないことがわかっています。


このことは何を意味するのか理解する上で、ビーズ課題を見てみましょう。


ビーズ課題では85:15、15:85のように反対だが同じ比率の黒と白のビーズが入った2つの瓶の中からビーズを1つずつ取り出していき、それがどちらの瓶から来たものかを判断しなければなりません。


1997年の研究では、妄想のある人は他のグループよりも少ないビーズに基づいて判断を下す傾向がありました。


しかし、他の群と同じ量のビーズを見せた場合は成績に差はありませんでした。


つまり、妄想を持つ人は、推論を行う上で、データを適切に利用することが難しいのではなく、データを収集することにバイアスがかかっていると考えられるわけです。


私たちは他者が偏った考え方をしている時に、ついつい頭の悪さや非合理性を非難してしまいますが、情報の収集にバイアスがかかってしまっていることを考えると、もう少し寄り添いあうことができるようになるのではないでしょうか?


参考文献:


Huq, S. F., Garety, P. A., & Hemsley, D. R. (1988). Probabilistic judgements in deluded and non-deluded subjects. The Quarterly journal of experimental psychology. A, Human experimental psychology, 40(4), 801–812. https://doi.org/10.1080/14640748808402300


Dudley, R. E., John, C. H., Young, A. W., & Over, D. E. (1997). Normal and abnormal reasoning in people with delusions. The British journal of clinical psychology, 36(2), 243–258. https://doi.org/10.1111/j.2044-8260.1997.tb01410.x

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