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なぜ夜型のほうが知能が高いのか

夜型とIQ


知能の高い人物の方が(低い人物よりも)夜型になりやすいという予測を検証した2009年の研究
the National Longitudinal Study of Adolescent Health (Add Health)の分析がこの予測を支持

知能(IQ)の研究は社会に大きなインパクトを与えるため、時折研究そのものが批判されることがあります。


今回は進化心理学的な観点から知能について行われた研究を簡単に外観し、不都合な科学にどう向き合うべきかを考えてみましょう。


2009年の研究では、知能の高い人物の方が(低い人物よりも)夜型になりやすいという予測を検証しており、the National Longitudinal Study of Adolescent Health (Add Health)の分析がこの予測を支持しました。


この結果をどう受け止めるべきでしょうか?


まず、なぜこの予測が生まれたかという点について考える必要があります。


この予測は、知能の高い個人は進化的に新しい価値観や選好を獲得し支持する可能性が高いというサバンナ-IQ相互作用仮説(The Savanna–IQ Interaction Hypothesis)に基づいています。


この仮説に基づいて政治的態度との関係が検討されていたりしますが、あるグループの人々はそれ以外のグループの人々よりも知能が高いとか低いというのは不謹慎で、あり得ない、前時代的な考え方として、科学の世界では扱われるべきではないテーマなのでしょうか?


きっとそうではありません。


少なくとも、サバンナ-IQ相互作用仮説(The Savanna–IQ Interaction Hypothesis)は「IQ」と「進化的に新しい価値観や選好」という関係をデータから検討しようとしているだけで、特定のグループを意図的に貶める意図は少なくともこの仮説自体には存在しません。


夜型以外にも「進化的に新しい価値観や選好」と考えられる変数は多くありますので、それらとIQの関係を比較することによって、結果的にサバンナ-IQ相互作用仮説(The Savanna–IQ Interaction Hypothesis)が支持されるべきかを検討することができます。


単に私怨や憎しみから特定のグループを批判することは差別かもしれませんが、単に複数の変数の関係をデータから明らかにしようとすることは、通常の科学的な態度だと思われます。


また、このサバンナ-IQ相互作用仮説(The Savanna–IQ Interaction Hypothesis)が非常に魅力的なのは、心理学者が測定している「知能」という捉えどころのない構成概念は実際には進化的に新しい価値観や選好を持つ人々を高い知能と位置付ける構成概念を測定している可能性があるわけです。


つまり、「知能が高いこと」が優秀で、素晴らしい、他の動物には許されない人間だけの特権と考えていると、知能が低いという事実は受け入れられないかもしれませんが、そもそも知能検査で測定する知能が進化的に新しい価値観や選好を測定しているというだけの可能性も考えられるわけです。


たとえ「乳児の記憶は大人になってほとんど消えてしまう」という予測がデータから支持されたとしても、「だから乳児にはひどいことをしても良い」と考えるか「科学的な結果は受け入れたとしても、乳児には優しく接する」と考えるかは、結局のところ受け手の問題なのです。


参考文献:


Kanazawa, S., & Perina, K. (2009). Why night owls are more intelligent. Personality and Individual Differences, 47(7), 685-690.

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