エルニーニョとウミイグアナの適応
ウミイグアナは最大で20%(6.8cm)も体長が短くなる
エルニーニョ現象による餌不足では体長が減少、餌が豊富なラニーニャ現象では体長が増加
縮小した個体は採餌効率が上がり、エネルギー消費量が減少する為、厳しい環境下でも長く生存できることが判明
お腹が空いてもなかなか食料が手に入らないような状況ではどのような方法で生き延びようとしますか?
手に入った貴重な食料を節約するかもしれないし、無駄な動きを減らすかもしれません。
しかし、中にはとんでもない画期的な方法で食糧危機を生き延びる生物もいます。
今回はウミイグアナの適応を覗き見てみましょう。
ガラパゴス諸島のウミイグアナは2年以内に最大で20%(6.8cm)も体長が短くなっていることが判明しました。
これは、ヒトに当てはめるとすごいことだということがわかります。
身長170cmの成人が2年で136cmになるということです。
この体長減少は、エルニーニョ現象(海面水温が平年より高くなること)による餌不足と一致しました。
また、興味深いのは餌が豊富なラニーニャ現象(海面水温が平年より低くなること)が発生すると、体長は再び増加したということです。
縮小した個体は採餌効率が上がり、エネルギー消費量が減少する為、厳しい環境下でも長く生存できることも判明しましたので、この一連の体長減少/増加はウミイグアナの環境に対応する適応だということがわかります。
生物の生態を深く観察すると、ヒトでは考えられないような適応を遂げていることがわかって、非常に面白いものです。
参考文献:
Wikelski, M., & Thom, C. (2000). Marine iguanas shrink to survive El Niño. Nature, 403(6765), 37-38.
Wikelski, M., & Trillmich, F. (1997). Body size and sexual size dimorphism in marine iguanas fluctuate as a result of opposing natural and sexual selection: an island comparison. Evolution, 51(3), 922-936.
Wikelski, M., Carrillo, V., & Trillmich, F. (1997). Energy limits to body size in a grazing reptile, the Galapagos marine iguana. Ecology, 78(7), 2204-2217.
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