なぜ脳は分業を行うのか?
左右差のある脳を持つヒヨコは餌を探しながら敵に注意することが得意
脳科学についての本を読んだことがある方や、大学などで脳科学の講義を受講したことがある方は脳についての最も初歩的な事実に疑問を抱くのかもしれません。
それは、脳は右脳と左脳で役割が異なるということです。
つまり、脳は分業制ということですが、なぜこのような仕組みになっているのでしょうか?
ある研究では、左右差のある脳(分業制)と左右差のない脳を持つヒヨコの行動を観察することにより、脳の左右差の秘密を明らかにしようとしました。
ちなみに、ヒヨコは暗い場所で孵化させると脳の左右差は消失します(実験でも同様の手法を用いて左右差のない脳を持つヒヨコが生み出されました)。
それぞれのヒヨコを、餌を探しながら捕食者の接近に注意を払わなければならないという状況に置くと興味深いことがわかりました。
それは、捕食者が接近しているときは、左右差のない脳を持つヒヨコは左右差のある脳を持つヒヨコに比べて餌を探すのに時間がかかり、また捕食者が接近していても気づかずに餌を探すことが多かったのです。
つまり、左右差のある脳を持つヒヨコほど捕食者に注意を払いながら餌を探すことが得意だったというわけです。
脳が作業を分担することで2つ以上のタスクを同時にこなせるということが、脳の左右差が進化してきた理由なのかもしれません。
参考文献:
Rogers, L. J., Zucca, P., & Vallortigara, G. (2004). Advantages of having a lateralized brain. Proceedings. Biological sciences, 271 Suppl 6(Suppl 6), S420–S422. https://doi.org/10.1098/rsbl.2004.0200
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