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自己犠牲?

  • 執筆者の写真: 日本進化心理学IHAセンター
    日本進化心理学IHAセンター
  • 2020年8月26日
  • 読了時間: 1分

ベルディングジリスの警戒音


メスはオスよりも警戒音を発する

北米に生息するベルディングジリス(リスの一種)は捕食者が接近した時に警戒音を発して仲間に危険を知らせます。


これはなぜ起こるのでしょうか?


仲間を助ける為という、いわゆる自己犠牲でしょうか?


しかし、進化心理学的には自己犠牲をする個体は遺伝子を残せる可能性が減少しますので、淘汰されてしまいます。


実は、ベルディングジリスはメスの方がオスよりも警戒音を発することが調査により分かっています。


さらに、オスは群れを形成せず放浪しており、メスは群れの中で助け合って生きているという点も踏まえておく必要があります。


警戒音を発した個体は真っ先に捕食されるリスクが高まりますが、結果として子どもだけでなく血縁個体の生存率が上昇すれば、自己犠牲する個体の遺伝子は淘汰されないわけです。


つまり、オスが警戒音を発したとしても、周囲にいる群れはいわば他人、しかしメスの周囲にいるのは血縁個体、というわけでメスの方が仲間に危険を知らせるわけです。


自己犠牲とは他人ではなく血縁者を生かすことで成立するのかもしれません。


参考文献:


Sherman, P. W. (1977). Nepotism and the Evolution of Alarm Calls. Science, 197(4310), 1246-1253. doi:10.1126/science.197.4310.1246

 
 

*全ての記事は科学的な知見に基づくものであり、一部の人に不利になるような思想を助長させるものではありません。

*全ての記事の内容は新たな知見等により、多少の修正が必要な場合や正反対の見解が正しいとされる場合もあります。

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