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締め切りに追われるという錯覚

労力と時間知覚の関係


締め切りが無い場合:多くの労力が必要な事象は時間的に遠く感じる(より多くのエネルギーが必要とされる為)
締め切りがある場合:多くの労力が必要な事象は時間的に近く感じる(準備する時間が多く必要な為)

皆さんは締め切りに追われたことはありますか?


締め切りが迫っているととてもストレスがかかってしまいますが、近年の研究では“締め切りに追われる”という現象は主観的な要素を多く含んでいることがわかっています。


2010年の研究によると、締め切りが無い場合には労力が多い事象は時間的に遠く感じますが、締め切りがある場合には労力が多い事象は時間的に近く感じるということがわかりました。


ここで言う時間的に遠く感じるか近く感じるかは、実際の時間との対比から求められます。


例えば、1ヶ月後にあるイベントが迫っている時、そのイベントが1ヶ月未満に感じた場合は近く感じたことになりますし、1ヶ月以上に感じた場合は遠く感じたことになります。


そもそも、締め切りが何も設定されていない場合に、労力が多い事象を遠く感じるのはより多くのエネルギーが必要とされる為だと考えられます。


欲しいものはいつだって遠くにあるでも説明されたように、利益が多く見込める物は物理距離的に近く感じられますので、エネルギーが多く必要とされる→利益が少なくなるという関係を考えると、エネルギーが多く必要とされるということが労力が多い事象を遠く感じるということがなぜ関係するのか理解できます。


一方で、締め切りが設定されている場合、労力が多い事象は準備する時間が多く必要な為に近く知覚されるというわけです。


“締め切りに追われる”というのは一種の錯覚(少なくとも主観的な経験)だとわかる研究でした。


参考文献:


Jiga-Boy, G. M., Clark, A. E., & Semin, G. R. (2010). So much to do and so little time: Effort and perceived temporal distance. Psychological science, 21(12), 1811-1817.

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