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平等=公平?

進化に根付く「公平」についての考え方


資源が豊富にある場合には乳児は資源が平等に分配されることを期待する
資源が限られている場合には乳児は資源が分配者と似ている相手に分配されることを期待する

グローバル化が進む現代社会では、あまりにも多くのことが一昔前と比べて変化しました。


他国についての考え方も変化する価値観の1つと言えます。


少し前までは外国人と聞くと多くの日本人にとっては普段出会うことのない、まさに異邦人でしたが、現在は一歩街へ出るとどこもかしこも外国人ばかりということも珍しくありません。


他にも、少し前まで海外旅行はお金に余裕のある人たちだけができることでしたが、最近では「貧乏旅行」と称して学生が格安航空会社を利用して海外へ行くことも珍しくありません。


そんな現代社会では、「公平」に対する価値観が進化の歴史とは大きく異なるということがもしかしたら忘れ去られているのかもしれません。


現代社会ではすべての人が等しく扱われること、すなわち「平等」こそが「公平」であると考える人も多いでしょう。


アイデンティティの多様性が叫ばれる現代社会では、他者と違うことで不平等な扱いを受けることは許されないのです。


しかし、2018年の研究は進化がどう「公平」と向き合ってきたのかについて教えてくれます。


その研究では、乳児が「1.資源が豊富にある場合」と「2.資源が限られている場合」にどう資源を配分すべきか考えていることが明らかになりました。


その研究によると、「1.資源が豊富にある場合」には乳児は資源が平等に分配されることを期待しましたが、「2.資源が限られている場合」には乳児は資源が分配者と似ている相手に分配されることを期待しました。


つまり、進化は「誰彼構わず平等に分配する」という考えではなく、「自分と同じグループに所属する相手に優先的に分配する」ということを好んできたということです。


参考文献:


Bian, L., Sloane, S., & Baillargeon, R. (2018). Infants expect ingroup support to override fairness when resources are limited. PNAS Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 115(11), 2705–2710. https://doi.org/10.1073/pnas.1719445115

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