母親の貧困と嬰児殺し
1984年〜1996年の米国50州およびコロンビア特別区における母親の嬰児殺しの割合を調べた研究
出産可能な年齢の女性の多くが貧困状態にある州は母親の嬰児殺しの割合が高い州であることが判明
相対的剥奪(極端に豊かな中での極端な貧困)が母親の暴力に影響を与えるという考え方を支持
お腹を痛めて産んだ子を実の母親が殺してしまうことは、稀にではありますが統計上存在します。
今回はどのような状況で母親の嬰児殺しが起こるのかについて、理論からではなく、実例から考えてみましょう。
1984年〜1996年の米国50州およびコロンビア特別区における母親の嬰児殺しの割合を調べた研究が2003年に発表されています。
この研究によると、出産可能な年齢の女性の多くが貧困状態にある州は母親の嬰児殺しの割合が高い州であることが判明しました。
したがって、この結果は相対的剥奪(極端に豊かな中での極端な貧困)が母親の暴力に影響を与えるという考え方を支持しています。
たとえ一人当たりの所得が高いとしても、出産可能な母親たちがその中で相対的に貧しければ嬰児殺しは増加するというのは重要なポイントだと思われます。
嬰児殺しを防ぐ為には、全体の所得をあげるだけでは不十分なのかもしれません。
参考文献:
Gauthier, D. K., Chaudoir, N. K., & Forsyth, C. J. (2003). A sociological analysis of maternal infanticide in the United States, 1984-1996. Deviant Behavior, 24(4), 393-404.