数学の問題と現実の確率
ホットハンド現象:コイントスなどの独立した確率である当たりと外れの連続に“流れ”を期待すること
分布がランダムに生成される果物の採集などの当たり外れを予測する課題ではホットハンドが生じる
世の中にある事象の多くはそもそもランダムではないことを示唆
皆さんは数学の問題で解くのが苦手だった分野は何かありますか?
確率が苦手という方はいませんでしたか?
今回は、なぜ私たちヒトがランダムな確率を理解することが苦手なのかについて考えてみましょう。
2009年の実験によると、分布がランダムに生成される果物の採集などの当たり外れを予測する課題ではホットハンドが生じることが明らかになりました。
ホットハンド現象とは、コイントスなどの独立した確率である当たりと外れの連続に“流れ”を期待することです。
私たちは“ランダム”な事象を理解できない“愚かな”生き物なのでしょうか?
実は、この研究結果は世の中にある事象の多くがそもそもランダムではないことを示唆しています。
例えば、降水確率などは「%」で表示されますが、天気は実際にランダムな現象なのでしょうか?
梅雨の時期は毎日ランダムな確率で雨が降っているのでしょうか?
そうではありません。
雨が降りやすい時期もあれば、晴れが続きやすいこともあります。
同じように、ある場所で果物が取れるかどうかはランダムな事象ではなく、たくさん果物が実っている場所では毎日その場所を訪れても果物は同じように手に入ります。
しかし、果物を取り尽くしてしまった日には、何日待てども新しい実が実るにはとても時間がかかってしまいます。
つまり、私たちはそもそも世界をランダムなものとして捉えているのではなく、ある程度の“塊”として捉えているというわけです。
数学のランダムな確率を理解するのが難しいのは、そもそも世界には全くランダムな事象だと誰かに教示されることが無いからではないでしょうか?
参考文献:
Wilke, A., & Barrett, H. C. (2009). The hot hand phenomenon as a cognitive adaptation to clumped resources. Evolution and Human Behavior, 30(3), 161–169. https://doi.org/10.1016/j.evolhumbehav.2008.11.004
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