鳥の親の戦略
シジュウカラの各親はパートナーが貢献するまで給餌率を約25%減らした。
子育てを積極的にしない親はたびたび批判されますが、そもそもヒトは全力で子育てをする生き物なのでしょうか?
シジュウカラという鳥に関する研究を見てみましょう。
どうやら、シジュウカラの各親はパートナーが貢献するまで給餌率を約25%減らすようです。
つまり、オスがヒナに餌をあげなければ、メスも餌をあげるのを多少控えるということです。
ここから導き出される結論は、各親は協力して子育てをしているように見えますが、自分のコスト(餌をあげる)と利益(ヒナの成長)を天秤にかけながら給餌しているというわけです。
メスはオスが給餌しなくても変わらずヒナに餌をあげ続ければ良いと思うかもしれませんが、これはオスにとっては有利(餌を取る危険やコストがいらない)ですが、メスにとっては不利です。
しかし、オスが協力しないときにメスも多少給餌率を減少させれば、オスは利益(ヒナの成長)が減少する可能性があるので、慌てて協力するようになるというわけです。
もちろん、上記の例はオス・メス逆転した場合でも同じです。
つまり、親という生き物は(少なくともシジュウカラでは)全力で常にヒナを育てるわけではなく、パートナーと駆け引きをしながらヒナの成長を支えているわけです。
もしかすると、積極的に子育てをしない女性や男性にはパートナーの協力が足りていないのかもしれません。
参考文献:
Rufus A. Johnstone, Andrea Manica, Annette L. Fayet, Mary Caswell Stoddard, Miguel A. Rodriguez-Gironés, Camilla A. Hinde, Reciprocity and conditional cooperation between great tit parents, Behavioral Ecology, Volume 25, Issue 1, January-February 2014, Pages 216–222, https://doi.org/10.1093/beheco/art109