血管迷走神経失神の進化論的な説明
注射や採血によってなぜ失神が引き起こされるのかという疑問に答える仮説
進化論的には、刺し傷を負ったときに血圧と心拍数を低下させ、完全に出血する前に血液を凝固させることは理にかなっている
血管迷走神経失神は生理的反射であり、病気ではないことを示唆
「血管迷走神経失神」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、「自律神経系を介した心臓・循環調節の障害を原因とする一過性の意識消失発作」のことです。
このタイプの失神は注射や採血で引き起こされることが知られていますが、なぜそんなことが起きるのでしょうか?
今回は、注射や採血によってなぜ失神が引き起こされるのかという疑問に答える仮説があるのでご紹介します。
そもそも、失神をする際には血圧や心拍数が低下するという反応が見られます。
つまり、進化論的には、刺し傷を負ったときに血圧と心拍数を低下させ、完全に出血する前に血液を凝固させることは理にかなっていると考えられるわけです。
このタイプの失神は病気だと考えられていましたが、この仮説通りであるとするのなら、注射や採血に伴う失神は病気ではなく、止血をサポートする為の生理的な反応ということになります。
人体とは不思議だが、よくできているなと感じる仮設でした。
参考文献:
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1414100320
Diehl, R. R. (2005). Vasovagal syncope and Darwinian fitness. Clinical autonomic research, 15(2), 126-129.
Jenkins, K. (2014). II. Needle phobia: a psychological perspective. British journal of anaesthesia, 113(1), 4-6.
Gilchrist, P. T., & Ditto, B. (2012). The effects of blood‐draw and injection stimuli on the vasovagal response. Psychophysiology, 49(6), 815-820.