男性と女性の移動の違い
性別による経済的役割が空間利用をどのように構成しているか調べた研究
ハッザ族が装着したGPSデバイスによると、男性は1日あたりの歩行距離が長く、より多くの土地を探索し、より曲がりくねった道を歩き、一人で行動する傾向が強いことが判明
皆さんは毎日どれくらい歩きますか?
男性と女性ではどれだけ歩行距離に違いが出るのでしょうか?
性別による経済的役割が空間利用をどのように構成しているか調べた2021年の研究を見てみましょう。
この研究では、経済的役割、つまり男性が狩りをして女性が採集を多く行うという役割の違いが、どのように空間利用、つまり歩行距離や範囲と関連しているのかが調査されました。
調査においては、狩猟採集民であるハッザ族が対象となり、GPSデバイスを装着しました。
その結果、男性は1日あたりの歩行距離が長く、より多くの土地を探索し、より曲がりくねった道をたどり、一人で行動する傾向が強いことが判明しました。
採集と違い、狩猟では対象となる食料の密度の関係から、長い距離や広い範囲を移動しなければならず、動く生き物を対象とするので曲がりくねった道を歩くことになり、獲物に気づかれない為に一人で行動するようになるということがわかりました。
GPSデータによって、狩猟採集民の生活が観察研究よりも、より定量的に分析できることがわかる研究でした。
参考文献:
Wood, B. M., Harris, J. A., Raichlen, D. A., Pontzer, H., Sayre, K., Sancilio, A., ... & Jones, J. H. (2021). Gendered movement ecology and landscape use in Hadza hunter-gatherers. Nature human behaviour, 5(4), 436-446.
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