命の重さと年齢
倫理的な問題(誰の命を救うべきか)に対する人々の選好を調べた2010年の研究
スウェーデンのサンプルの回答を分析
5~15歳の1人の死を避けることは35~45歳の1.43人の死を避けることと同等
5~15歳の1人の死を避けることは65~75歳の3.31人の死を避けることと同等
35~45歳の1人の死を避けることは65~75歳の2.31人の死を避けることと同等
心理学は時として考えるのも辛い問題に取り組まなければなりません。
例えば、「命の重さ」です。
「すべての人は平等」とか「命の重さは変わらない」と考えることは美しいことですが、学問として人間の心を捉えようとする時、多くの場面で人はそんなことを思っていないということがわかります。
倫理的な問題(誰の命を救うべきか)に対する人々の選好を調べた2010年の研究では、スウェーデンのサンプルの回答を分析することにより、人々が命の重さについてどう考えているか調べました。
その結果、5~15歳の1人の死を避けることは35~45歳の1.43人の死を避けることと同等であること、5~15歳の1人の死を避けることは65~75歳の3.31人の死を避けることと同等であること、35~45歳の1人の死を避けることは65~75歳の2.31人の死を避けることと同等ことがわかりました(すべて有意な結果)。
他者を慈しみ、愛する心を持っているのも人間ですが、誰かを傷つけてしまいたい、憎しみのあまり殺してしまいたいと思うのも人間です。そして、善い面も悪い面も含めて人の心を分析するのが心理学なのです。
今回のような研究から、人の命の重さが異なるかどうかということを導くことはできません。
しかし、少なくとも人が命の重さを異なると捉えているのかということはわかるわけです。
参考文献:
Carlsson, F., Daruvala, D., & Jaldell, H. (2010). Preferences for lives, injuries, and age: A stated preference survey. Accident Analysis & Prevention, 42(6), 1814-1821.
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