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社会か病気かのトレードオフ

社会的所属と疾病回避


社会的所属の追求と疾病回避にはトレードオフがあることを確かめた研究
研究1:社会的に排除されると病気になりにくいと感じる
研究2:社会的に排除されると対称的な顔への選好が低下
研究3:病気に対する懸念が強くなると社会的所属への関心が低下

どこかの集団に所属したい(部活や会社やサークルなど)と思いますか?


病気にかかりたくないと思いますか?


実は、この2つは相反する動機だということが進化心理学の観点から指摘されています。


どういうことなのでしょうか?


2014年の研究では、3つの関連する実験から社会的所属の追求と疾病回避にはトレードオフがあることを確かめました。


以下にそれぞれの実験の概要をまとめておきます。


研究1:社会的に排除されると病気になりにくいと感じる


研究2:社会的に排除されると対称的な顔への選好が低下


研究3:病気に対する懸念が強くなると社会的所属への関心が低下


それぞれの研究の前半部分、「社会的に排除されると&病気に対する懸念が強くなると」という部分はそれぞれの研究での独立変数の操作部分です。


その後に続く文章がそれぞれの従属変数の部分です。


心理学の実験では、独立変数を操作して、従属変数が影響を受けると因果関係が(ひとまずは...)確かめられたことになります。


また、ここからが心理学の研究の面白い所なのですが、社会的に排除されたり、病気に対する懸念が強くなったりという部分は、何らかの操作を加えて再現するのですが、その際にプライミングを用いることがあります。


例えば、社会的に排除された過去の経験を書き出してもらったり、病気のことを思い浮かべてもらったりというようなものです。


そして、これらの操作を行った群と操作を行っていない群で確かめたい従属変数に差が出ているかということを比較して初めて文頭のような結果が得られるのです(実際には、独立変数と従属変数に影響を与えてしまう要因や個人差なども統制します)。


私たちはついつい内気な人を見てしまうと、「もっと色んな人と仲良くしなよ!」などと言ってしまうのですが、他者とそんなに仲良くしたがらない人には、私たちが計算に入れていない変数(病気のなりやすさや社会的所属欲求など)が隠れているのかもしれません。


参考文献:


Sacco, D. F., Young, S. G., & Hugenberg, K. (2014). Balancing competing motives: Adaptive trade-offs are necessary to satisfy disease avoidance and interpersonal affiliation goals. Personality and Social Psychology Bulletin, 40(12), 1611-1623.

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