栄枯盛衰
一族の資産はなぜ無くなるのか?
「相続税は3代で家を潰す」と言われるが、実験では相続税が無くても、一族の資産を自由に使用できるような状況では2、3世代後に一族の資産はほぼ無くなることが判明
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵におなじ。」
これは、かの有名な平家物語の冒頭です。
学校で習ったので覚えているという人も多いのではないでしょうか?
冒頭部分は要約すると、栄えているものもいつかは滅びるという栄枯盛衰を表しています。
また、有名なセリフ「平家にあらずんば人にあらず」は当時の平家がどれほどの権力と富を持っていたのかを暗示してくれます。
しかし、それほどの権力を持っていた平家も終には滅びます。
戦乱の世を治めた徳川家も265年間の治世を経てその権力は無くなってしまいました。
なぜ、栄えたものは常に滅びるのでしょうか?
現代風に言い換えると、一族の資産はなぜ無くなってしまうのでしょうか?
よく相続税の恐ろしさを伝える為に「3代続くと家が潰れる」と言われることがあります。
しかし、栄枯盛衰や私たちの資産が3代で無くなってしまうのは、どうやら私たちの本能に基づいた行動が原因のようです。
2014年に行われた研究では、一族の資産がどう減るのかというのを実験によって確かめました。
この実験では、一族の資産を自由に取れる場合、資産は2、3世代で無くなってしまうことが分かりました。
そもそも私たちは未来の為に生きるようにはデザインされていません。
一代で財が築かれても、子や孫、親族など資産を受け継いだ人たちが自由にその資源を消費できる状況では、築かれた財産はすぐに無くなってしまうのです。
参考文献:
Hauser, O., Rand, D., Peysakhovich, A. et al. Cooperating with the future. Nature511, 220–223 (2014). https://doi.org/10.1038/nature13530