鳥類と哺乳類における渡りと寿命の関係
渡りをする鳥類と哺乳類はしない近縁種に比べて寿命が短く、成長が早く、短期間に多くの子を産出する
遊泳種・歩行種では渡りをする種は体のサイズが大きい
飛翔種では渡りをする種は体のサイズが小さい
新しい家を探し、業者に電話し、段ボールを用意し、思い出を整理しながら住んだ家に別れを告げる。
引っ越しとは心機一転できるチャンスでもありますが、同時にとても疲れる作業でもあります。
一生同じ家に住み続ける人もいれば、引っ越しを繰り返す人もいます。
これは、私たちだけに言えることではありません。
例えば、渡り鳥は新しい住処を求めてとても長い距離を移動することが知られています。
渡りをする種としない種は何が違うのでしょうか?
ある研究によると、渡りをする鳥類と哺乳類はしない近縁種に比べて寿命が短く、成長が早く、短期間に多くの子を産出するという特徴が見られることがわかりました。
つまり、厳しい環境(死亡率が高いなど)では生物は早い生活史戦略になるという仮説を支持するような結果が渡りをする鳥類と哺乳類にも見られたというわけです。
さらに、興味深い傾向も見られました。
どうやら、遊泳種・歩行種では渡りをする種は体のサイズが大きいが、飛翔種では渡りをする種は体のサイズが小さいということもわかりました。
これは、異なるエネルギーコストが原因と考えられています。
異なる種の異なる行動や特徴に対して一貫した説明が可能なのが進化の話の良いところなんだと気づかされる研究です。
参考文献:
Soriano-Redondo, A., Gutiérrez, J.S., Hodgson, D. et al. Migrant birds and mammals live faster than residents. Nat Commun11, 5719 (2020). https://doi.org/10.1038/s41467-020-19256-0