バックパックの金額とトリヴァース・ウィラード仮説
中国において青色(息子用)とピンク色(娘用)のバックパックの購入金額を調べた研究
経済的地位の高い親は青色に、低い親はピンク色によりお金をかけ、その間の親は青色とピンク色のバックパックに等しくお金をかける傾向がある
進化心理学の中でも非常に有名なトリヴァース・ウィラード仮説によれば、経済的地位の高い親は息子に、経済的地位の低い親は娘により多く投資することが考えられます。
これは、男性の方が繁殖適応度の分散が大きい為、十分に投資を行わなければ息子は繁殖に成功しにくく、女性は繁殖適応度の分散の小ささから十分な投資を行わずとも繁殖に成功しやすいことが理由として挙げられています。
これを実際に検証する為には、親が子どもに使うお金を比較してみたら良いのです。
中国において青色(息子用)とピンク色(娘用)のバックパックの購入金額の差を比較した2018年の研究によると、経済的地位の高い親は青色に、低い親はピンク色によりお金をかけ、その間の親は青色とピンク色のバックパックに等しくお金をかける傾向があることがわかりました。
親の投資という考え方からすれば、親が投資をする理由は子どもが次世代に遺伝子を受け継いでくれるからです。
したがって、自身の適応度を犠牲にして行われる子どもへの投資というコストは子どもの適応度というリターンを最大化する為に行われるわけです。
男の子には青色を、女の子にはピンク色をというジェンダーに基づいた親の購買は近年では批判されることもありますが、そこから分析できることもたくさんあることがわかる研究でした。
参考文献:
Song, S. (2018). Spending patterns of Chinese parents on children's backpacks support the Trivers-Willard hypothesis: Results based on transaction data from China's largest online retailer. Evolution and Human Behavior, 39(3), 336-342.