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不完全な防衛?

  • 執筆者の写真: 日本進化心理学IHAセンター
    日本進化心理学IHAセンター
  • 2020年11月28日
  • 読了時間: 2分

ミジンコと捕食者


ミジンコの仲間は捕食者を感知するとツノを生やす
しかし、小さなツノは捕食者から完全に逃れることに役立たない
なぜ、このような“不完全な防衛”は進化したのか?
それは、ある防御機構が進化する為には「捕食者から生き延びることが目的」なのではなく、「同種の他個体より少しでも生き延びることが目的」だから

皆さんはミジンコを見たことがありますか?


体長は数mmのとても小さなプランクトンですが、この小さな生物はただただ捕食者に食べられるのを待つだけの小さな存在ではありません。


だいぶ昔に行われたミジンコの研究から判明しているのは、ミジンコの仲間は捕食者を感知するとツノを生やすということです。


しかし、このツノはとても小さいので、捕食者から完全に逃れることには役立ちません。


なぜ、このような不完全とも言える防衛は進化したのでしょうか?


それは、ある防御機構が進化する為には「捕食者から生き延びることが目的」なのではなく、「同種の他個体より少しでも生き延びることが目的」だからだと言えます。


むしろ、捕食者が存在しないような状況ではさまざまな形質が誕生します。


ある“特定の形質を持つ個体”の遺伝子が集団中に広がることでその形質は普遍的になります。


例え不完全な防衛でも、少しでもその防衛方法を持たない個体より生存に役立てば、その形質は進化しえます。


ある特定の形質が集団中に普遍的に進化するのは、個体が捕食者と争っているからではなく、同種の他個体と争っているからということを忘れてはなりません。


参考文献:


Dodson, S.I. The ecological role of chemical stimuli for the zooplankton: predator-induced morphology in Daphnia . Oecologia78, 361–367 (1989). https://doi.org/10.1007/BF00379110

 
 

*全ての記事は科学的な知見に基づくものであり、一部の人に不利になるような思想を助長させるものではありません。

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