鳥のヒナの餌請い
ヒナの餌請いはコストがかかる(必要以上に餌請いを行うことは非適応的)
実験的に激しく餌請いをさせると発達に支障をきたす
親子の対立を描く映画やドラマは数多くありますが、親と子の利害が一致しないのは何もヒトに限ったことではありません。
そう、鳥の世界には激しい親子の対立が存在するのです。
鳥の巣を注意深く観察すると、ヒナは餌請いを必死に行うことがわかります。
これは、「自分はお腹が空いているから早く餌をちょうだい」と親に示しているわけです。
親側も、せっかく産み育てた子に死んでもらっては困るわけですから、餌請いに応えるわけです。
しかし、ここで注意しなければならないのは、餌請いは非常にコストがかかる作業だということです。
つまり、必要以上に餌請いを行うことはヒナにとっても非適応的だというわけです。
実際に実験で確かめてみると、激しく餌請いをさせると、ヒナの発達に支障をきたすことがわかりました。
私たちが生きている限り、あらゆることに生物学的なコストがかかっています。
ある行動をするかどうかは、そのコストとリターンを天秤にかけながら常に行われるということです。
参考文献:
Grafen A. (1990). Biological signals as handicaps. Journal of theoretical biology, 144(4), 517–546. https://doi.org/10.1016/s0022-5193(05)80088-8
Is the Energy Cost of Begging by Nestling Passerines Surprisingly Low?, The Auk, Volume 114, Issue 1, 1 January 1997, Page 133, https://doi.org/10.2307/4089077
Kilner, R. (2001). A Growth Cost of Begging in Captive Canary Chicks. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,98(20), 11394-11398. Retrieved November 30, 2020, from http://www.jstor.org/stable/3056725