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“痩せたい”のは西洋文化の影響なのか?

普遍的な女性の理想美


イランの女性は布で体を覆うことが法律で義務付けられており、合法的に西洋メディアに触れる機会もほとんどない
しかし、イランに住む女性もアメリカに住むイラン系の女性も同じようなレベルの摂食障害を抱えている(痩せたいと思っている)

多くの女性は“痩せたい”と思ったことが一度はあるでしょう。


しかし、なぜ“痩せたい”と思うかについて考えたことはありますか?


社会科学や文化心理学は女性が“痩せたい”と思う理由について文化的な側面から説明をしてきました。


つまり、ハリウッド映画やコマーシャルなどの“西洋文化”が女性たちの理想美を作り上げているので、女性たちはテレビに映る美しい女優や歌手に憧れて、彼女たちのようになりたいと思うという説明です。


しかし、この説明は進化心理学的な見地からの説明とはなかなか相容れません。


なぜなら、私たちには生まれてから数十年で培われる感性よりも、もっと奥深くに何万年、何十万年を通して培われてきた感性が眠っているからです。


果たして、“痩せたい”と思うのは西洋文化の影響なのか?という疑問について、イラン女性を対象とした調査から考えてみましょう。


2001年に行われたこの調査では、イランに住むイラン女性とアメリカに住むイラン系の女性がどの程度“痩せたい”と思うかについて調べました。


ちなみに、イランの女性は布で体を覆うことが法律で義務付けられており、合法的に西洋メディアに触れる機会もほとんどないので、両グループが同じような結果になると、それはメディアの影響なのではなく、普遍的な“心”の影響ということになります。


実際、イランに住む女性もアメリカに住むイラン系の女性も同じようなレベルの摂食障害を抱えているということがわかりました。


社会科学や文化心理学が主張するように、もし西洋文化の影響を受けた人の方が“痩せたい”と思うのであれば、アメリカに住むイラン系の女性の方が多くの摂食障害を抱えるはずです(考え方としては、理想の体型になりたいけどなれない→摂食障害を引き起こすという流れです)。


女性たちが抱く理想美は西洋文化によって形作られるわけではなく、西洋文化は普遍的な理想美を補強しているに過ぎないのかもしれません。


参考文献:


Abdollahi, P., & Mann, T. (2001). Eating disorder symptoms and body image concerns in Iran: comparisons between Iranian women in Iran and in America. The International journal of eating disorders, 30(3), 259–268. https://doi.org/10.1002/eat.1083

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