最下位への嫌悪と最低賃金
ヒトは他者との相対的な地位を気にする
最低賃金の引き上げに最も反発するのは最低賃金よりもわずかに稼いでいるグループ(自分がグループ内で最も低所得になる可能性がある為)
最低賃金が引き上げられるたびに、「昔に比べると最低賃金もだいぶ上がったなー」という声がちらほら聞こえてきます。
最低賃金が上昇することは多くの人にとって嬉しいことかもしれませんが、最低賃金の引き上げに反発する人はいるのでしょうか?
もしいるとすれば、どのようなグループの人たちが反発するのでしょうか?
研究の結果、最低賃金の引き上げに最も反発するのは最低賃金よりもわずかに稼いでいるグループだということがわかりました(自分がグループ内で最も低所得になる可能性がある為)。
つまり、ヒトは他者との相対的な地位を気にするのです。
これは、自分の所得がわずかに増えても、結果として自分の所得がグループ内で最下位ということになれば、ライバルたちとの繁殖競争に不利になるということです。
参考文献:
“Last-Place Aversion”: Evidence and Redistributive Implications* Ilyana Kuziemko, Ryan W. Buell, Taly Reich and Michael I. Norton The Quarterly Journal of Economics (2014) 129 (1): 105-149. doi: 10.1093/qje/qjt035