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遊牧民のリスク分散

  • 執筆者の写真: 日本進化心理学IHAセンター
    日本進化心理学IHAセンター
  • 2020年12月29日
  • 読了時間: 2分

リスクを分散させる為の家畜の混合飼育


遊牧民が数種類の家畜を飼育するのは一見すると非合理的(繁殖の遅い家畜は育てるのに手間がかかる)
しかし、数種類の家畜を飼育することでリスク(家畜の全滅など)を分散させることができるというメリットがある

テレビから得られる情報が現実の情報と異なることはよくあります。


わかりやすさを提示する為に、伝えきれない情報があるというのは仕方のないことなのです。


皆さんは遊牧民が飼っている家畜についてどのような印象を抱きますか?


もしかして、遊牧民は羊を率いたり、ラクダを率いたりして、基本的には一種類の家畜をせっせと育てるものだと思っていませんか?


実は基本的に遊牧民は複数の種類の家畜を飼育するのです。


しかし、なぜそんなことをするのでしょうか?


これは一見すると非合理的に思えます。


なぜなら、家畜の種類によって飼育する手間や繁殖のスピードは異なるので、最も効率が良い家畜のみを育てると最大限利益が出るからです。


研究者達は、なぜ遊牧民が複数の種類の家畜を育てるのか?という疑問に対して、リスク分散の観点から回答を提出しています。


つまり、手間がかからず、繁殖スピードの速い家畜のみを育てないのは、複数種類の家畜を飼育することでリスク(家畜の全滅など)を分散させることができるというメリットがあるというわけです。


暑さに強い家畜や、飢えに強い家畜など、さまざまな家畜を効果的に組み合わせることで、不安定な環境を生き延びることができるということです。


参考文献:


Santa Fe Institute. (2020, July 27). New paper squares economic choice with evolutionary survival. ScienceDaily. Retrieved December 28, 2020 from www.sciencedaily.com/releases/2020/07/200727145817.htm


Mace, R., & Houston, A. (1989). Pastoralist strategies for survival in unpredictable environments: A model of herd composition that maximises household viability. Agricultural Systems, 31(2), 185-204. doi:10.1016/0308-521x(89)90020-6


Mace, R. (1990). Pastoralist herd compositions in unpredictable environments: A comparison of model predictions and data from camel-keeping groups. Agricultural Systems, 33(1), 1-11. doi:10.1016/0308-521x(90)90067-z

 
 

*全ての記事は科学的な知見に基づくものであり、一部の人に不利になるような思想を助長させるものではありません。

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