進化で獲得した「気持ち悪い」という感情のメリットとは
気持ち悪くなりやすい人は感染症のリスクが極端に低い
皆さんは「気持ち悪い」という感情について考えたことがありますか?
「気持ち悪い」とは嫌悪感(吐き気を伴うこともある)を表す言葉です。
これは、病原体への対策としての感情であるという研究が多くなされてきました。
以前ご紹介したつわりは胎児を有毒物から守るために起きるというお話がその例です。
他にも、汚染された食べ物を見るだけで、体温は上昇(免疫システムの1種)するという研究もあります。
さらに、汚染された食べ物への感度が高く、気持ち悪さをよく感じる人は感染症のリスクが著しく低いこともわかっています。
新型コロナウイルスを恐れて、アジア人が海外で襲われるというニュースもありますが、これはヒトとしては適応的な行動かもしれません。
なぜなら、遠くに住んでいる人達(アジア人とアメリカ人など)はそれぞれ異なる免疫システムを発達させてきました。
つまり、それぞれにとってはあまり気にならないような感染症が相手にとっては命に関わることがあるのです。
実際、感染症のスライドショーを見るだけで、移民の受け入れに反対しやすくなるというようなこともわかっています。
参考文献;
Curtis, V., Aunger, R., & Rabie, T. (2004). Evidence that disgust evolved to protect from risk of disease.Proceedings of the Royal Society of London. Series B: Biological Sciences,271(suppl_4). doi: 10.1098/rsbl.2003.0144
Stevenson, R. J., Hodgson, D., Oaten, M. J., Moussavi, M., Langberg, R., Case, T. I., & Barouei, J. (2012). Disgust elevates core body temperature and up-regulates certain oral immune markers. Brain, Behavior, and Immunity, 26, 1160–1168. Stevenson, R. J., Case, T. I., & Oaten, M. J. (2009). Frequency and recency of infection and their relationship with disgust and contamination sensitivity. Evolution and Human Behavior, 30, 363–368.
Faulkner, J., Schaller, M., Park, J. H., & Duncan, L. A. (2004). Evolved disease-avoidance mechanisms and contemporary xenophobic attitudes. Group Processes and Intergroup Relations, 7(4), 333–353. https://doi.org/10.1177/1368430204046142