音素から分析する最も古い言語
言語はアフリカから離れるにつれて音素の数が減少する
言葉はどれだけの情報を伝えられるのか?でもお伝えしましたが、2020年現在で確認されている言語は7,117種類にも及びます。
世界中の言語のうち、どの言語が最も古いかを推定するような方法はあるのでしょうか?
2011年に発表された研究では、音素という言語の音の最小単位を用いて、異なる言語の関係が浮き彫りになりました。
その研究によると、音素はアフリカのサン人が話す言語で最も多く(最も古い言語の可能性)、アフリカから離れるにつれてその数は減少するようです。
例えば、サン人が話す言語は200の音素を持っていますが、英語は46、日本語は20の音素しかありません。
つまり、日本語(音素の数がより少ない言語)の方が英語よりも新しい言語ということになります。
これは、人類がアフリカを出て、ヨーロッパへ進出し、最終的にアジアへとたどり着いたという先行研究とも一致しています。
さらに、別の研究によると、アフリカ人は遺伝子の多様性が他の人種より豊かで、遺伝的多様性はアフリカを出るにつれて減少するようです。
つまり、結局のところ言語は、遺伝的多様性と同じように進化の産物の1つなのでしょう。
参考文献;
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