汚染と記憶の関連
病気の人が触った物体は健康な人が触った物体よりもよく記憶される
汚染の可能性が無い状況ではこの効果は見られない
記憶の優位性が生じる為には刺激が適応に関連した文脈に置かれる必要性を示唆
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いでは「感染症の兆候がある人が使用した道具を使用する意欲は低い」という研究を紹介しました。
これには、病気回避動機が関係しているというわけです。
つまり、私たちの行動免疫システムには病気を回避するような動機が備わっており、それは生存に有利という点で適応的なシステムなのです。
今回は記憶と行動免疫システムについて考えてみましょう。
2017年の研究から病気の人が触った物体は健康な人が触った物体よりもよく記憶されることがわかりました。
また汚染の可能性が無い状況ではこの効果は見られないということも続く実験で明らかになりました。
これは私たちの行動免疫システムは生存にとって脅威になる(汚染された物体という)情報を特別に処理するということを端的に表しています。
実際に汚染の可能性が無い状況ではこのような効果は見られなかったことから、記憶の優位性が生じる為には刺激が適応に関連した文脈に置かれる必要性が示唆されます。
“穢れた”ものは私たちの生存を感染という観点から脅かす存在である為に特に記憶に残ってしまうというわけです。
参考文献:
Fernandes, N. L., Pandeirada, J. N., Soares, S. C., & Nairne, J. S. (2017). Adaptive memory: The mnemonic value of contamination. Evolution and Human Behavior, 38(4), 451-460.
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