化学療法と味覚嫌悪学習
化学療法と味覚嫌悪学習の関係を調べた研究
化学療法の前にアイスクリームを食べた成人の患者はその後、同じ種類のアイスクリームに対する好みが有意に低下
大人の認知能力をもってしても、不快感とアイスクリームの味の条件づけを乗り越えられないことを示唆
食べ物の好き嫌いはなぜ起きる?では味覚嫌悪条件づけ(ガルシア効果)について紹介しました。
今回は、化学療法と味覚嫌悪学習の関係を調べた研究をご紹介します。
この実験によると、化学療法の前にアイスクリームを食べた成人の患者はその後、同じ種類のアイスクリームに対する好みが有意に低下することがわかりました。
つまり、化学療法による吐き気とアイスクリームが結びついてしまい、患者(の脳)はアイスクリームを(毒だと勘違いして)避けるようになったのです。
また、この実験の面白いところは、大人は嫌悪感の源が薬物治療であり、アイスクリームを食べたことが原因でないことは一般的な推論から理解できるはずです。
したがって、この結果は例え認知能力が発達した大人であっても、不快感とアイスクリームの味の条件づけを乗り越えられないことを示唆しています。
化学療法を受けている患者さんの食欲がどんどん無くなってしまう原因はガルシア効果で説明できる部分があるのかもしれません、
参考文献:
Bernstein, I. L., & Webster, M. M. (1980). Learned taste aversions in humans. Physiology & Behavior, 25(3), 363-366.