早く産む派 vs 遅く産む派
「死」に関連する刺激に曝されると、幼少期に貧しかった人は早く子どもを産もうとする
「死」に関連する刺激に曝されると、幼少期に豊かだった人は遅く子どもを産もうとする
身近な人の死が未来を縮めるでは「死」に関連する刺激に曝されることが早く子どもを産みたいと思うことへ影響するなどの研究を紹介しました。
今回はより詳しく見てみましょう。
「死」に関連する刺激に曝されることはすべての人に同じような影響をもたらすのでしょうか?
具体的には、前回明らかになったように「死」は早く子どもを産むことなどに繋がるのでしょうか?
2011年の研究では興味深い指摘がなされています。
どうやら、「死」に関連する刺激に曝されると、幼少期に貧しかった人は早く子どもを産もうとしますが、幼少期に豊かだった人は遅く子どもを産もうとするようです。
なぜでしょうか?
実は、「子どもをいつ産むか?」というのは偶然決まるわけではなく、個人の戦略なのです。
資源をどう分配するか?という観点に立てば、貧しい人というのは次の世代にすぐにでも遺伝子を受け渡したほうが良いのですが(環境が不安定なため)、豊かな人は自分の成長の為に資源を多く使ったほうが良いわけです(後により良い環境で子育てができるため)。
つまり、未成年が子どもを産むことに対して「経済力もないくせに!」とかキャリアウーマンに対して「お金はあるんだから、早く結婚しなよ!」とか言うのは進化心理学的にはナンセンスなことだと言えます。
お金が無いから早く産み、お金があるから遅く産むのです。
参考文献:
Griskevicius, V., Delton, A. W., Robertson, T. E., & Tybur, J. M. (2011). Environmental contingency in life history strategies: the influence of mortality and socioeconomic status on reproductive timing. Journal of personality and social psychology, 100(2), 241–254. https://doi.org/10.1037/a0021082
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